家系図を辿る 家紋について part2

家紋を巡るあれこれ

前回の記事で家紋にも様々な歴史があることがわかりました。

家紋についてpart1はこちら

今回は、そんな家紋を取り巻く様々な話について取り上げましょう。いくつかの紋とその紋にまつわる名字を取り上げ、発生の経緯や変遷も辿ってみます。自分の家系の家紋にまつわるエピソードもあるかもしれません。

 

「五大紋」と呼ばれる紋がある

引用:ゼクシィ

日本の家紋は約3万種あるといわれていますが、その中でも「五大紋」と呼ばれているほど有名、且つ種類も多い家紋があります。

画像左上から「藤紋」「桐紋」「鷹の羽紋(たかのはもん)」「木瓜紋(もっこうもん)」「片喰紋(かたばみもん)」の五つです。いつ頃、誰が言う様になったかは不明です。

またこれらに、蔦(つた)、茗荷(みょうが)、沢瀉(おもだか)、橘、柏の5つを加えて「十大紋」とも呼ばれることがあります。

引用:xtreeem

それぞれ、簡単に解説してみます。

 

武家に人気の高かった「鷹の羽紋」

五代紋の中で唯一の動物をかたどった「動物紋」の一種です。動物紋とは、動物の形を抽象化して、かたどった紋で、日本の場合種類はそれほど多くありません。

鷹の羽紋は勇猛な鷹のイメージからか、武人に好まれました。鷹の羽紋だけで60種類ほどあるといわれています。分布としては九州が多く、ついで関東でも人気のようです。九州の肥後・菊池氏や伊能忠敬、福沢諭吉、忠臣蔵で有名な浅野内匠頭長矩(ながのり)も鷹の羽紋を使用していました。

鷹の力強いイメージとは違い、あえて羽を組み合わせているところが日本人らしいという意見もあります。

海外、特にヨーロッパ貴族には日本と同じで家紋にあたる「ファミリークレスト」という紋章がありますが、日本とは違い動物や猛禽類が素材として多用されています。

紋様デザインも、日本とは違い写実的な図柄が中心です。強い動物が持つ猛々しさが、そのまま家の象徴として使われています。

 

最も使われている「片喰紋(かたばみもん)」の謎

五代紋の中で最も使われている紋であり、それは家紋の中で最も広く使われている紋ということになりますが、片喰紋はなぜそれほど使われる様になったのでしょうか。

紋の図柄である「片喰(かたばみ)」という植物は、繁殖力の強い、いわゆる雑草です。

引用:季節の耳より情報局

四ツ葉で有名なクローバーととてもよく似た草で、一見すると見分けがつきません。この草は、一度その土地に根付くとなかなか絶やすことができないことから「子孫繁栄」「家が絶えない」草として武家の間でも人気があった様です。また形も葵の紋に非常に似ていて、葵紋は徳川家の家紋のため使用が制限されていましたが、こちらは自由に使えるので、デザインも豊富になりたくさんの家で使用する様になったとされています。

代表的なものは剣片喰、丸に剣片喰、八重片喰などになります。

引用:ameblo.jp

変わり紋では片喰枝丸や剣片喰飛び蝶などは一見すると同じ片喰紋にみえませんが、このようにデザインが凝った紋もあるほどです。

使ったのは宇喜多秀家(ひでいえ)、長宗我部元親(もとちか)、酒井重忠など。近年では作家の坂口安吾や映画監督の黒澤明、白洲次郎も使用していました。

 

「木瓜紋」「藤紋」「桐紋」は時の権力者が使用

木瓜紋

まず木瓜紋は瓜の断面をイメージしたという説と、鳥の巣を図案化したという説があり、中国の唐時代、窠紋(かもん)という官服の図案として用いられました。海を渡り、奈良時代ごろ日本で使用され始めた様です。ただし肝心の「木瓜」は、「キュウリ=木瓜」と思われがちですが、キュウリやその他の瓜の断面図とは言い難いため、そもそも瓜ではなく当て字ではないかという説もあります。

木瓜紋は、花の様な優美なデザインが多く、平安時代に公家が好んで使用しました。また八坂神社を始め、全国の神社の御簾(みす)などに使用されています。代表的なものは木瓜や五瓜(ごうり・ごか)や六瓜(ろくうり・むつか)などで、横置き又は縦の楕円に近い形にすれば「竪木瓜(たてもっこう)」(下画像)とも呼ばれます。

五瓜では家により形状が違うため、「〇〇瓜(うり・か)」の〇〇部分に家の名を入れ呼ぶことがあり、有名なものが織田信長の織田瓜、有馬氏の有馬瓜、但馬の古代豪族・日下部氏なども「三つ盛り木瓜」を使用しています。

藤紋

「藤紋」はいわずと知れた藤原家にルーツを持つ佐藤、伊藤、斎藤などの一族が使用する例が多く、ヤマフジのぶら下がって咲く花と葉を「藤の丸」として図案化したもので、元来は「下り藤」と呼ばれる紋です。

引用:Pinterest

武家の間では14〜15世紀ごろに流行り始めた様で、藤のつく名字を持つ家がこぞって使う様になり広がったといわれています。代表的な紋に下り藤に対して上り藤があり、藤巴や九条藤などです。変わったもので藤の花を蝶に見立てた「藤飛び蝶」「藤蝶紋」もあります。

桐紋

「桐紋」は以前にも書きましたが、天皇や幕府が臣下に褒賞として与える様になり、さらに武将から臣下にと与え使用が増えていったといわれています。江戸時代には庶民も、桐紋がおめでたいことから紋付き服に使用し、貸し借りなどにより知名度が上がりました。元々は、古く中国で桐の木は「鳳凰(ほうおう)」が来て聖主(優れた王者)の出現を示すための止り木として神聖視されたことから、日本では天皇にゆかりの紋として菊の紋章とともに使われました。

江戸幕府でも小判に桐紋を彫るなど公的に使用され、明治以降に内閣総理大臣の紋章になりました。

また、現代では500円硬貨の表にデザインされていたり、パスポートの中面にデザインされていたりします(新しく発行されるものは違うデザインの様です)。有名な紋は五三桐、五七桐、土佐桐などです。

まとめ

今回は家紋の中でも「五大紋」に注目してみました。家紋の性質により、広がり方や使われ方が違うのも興味深いところです。一つの紋様にも数百というデザインがあり、自分の家の家紋と照らし合わせてみるのも面白いですね。

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